6年ほど前ですが、新婚旅行でオーロラ撮影をしてきました!
その旅行を決めてからカメラ購入を検討し、旅行の1か月前ほどにやっと購入という…カメラ超初心者のまま挑みました。
結果からいうと、反省点はあるもののオーロラを撮影することができました。
撮り方は何年たっても基本的なことは変わらないので、今回はその体験をもとに撮影方法や必要なもの、反省点などを思い出しながらまとめてみたいと思います。
※私は12月の冬季に撮影したので、基本的に「極寒」ベースでお話させていただきます。
撮影地と時期の選定
オーロラ撮影でまず一番大切なのは「出現率」ですよね。
オーロラが出ないと元も子もないのですから…。
私はイエローナイフで観賞したので、そこに決めた経緯をお伝えします。
調べていた中で候補にあがったのが
・ホワイトホース
・北欧のどこか(←)
画像引用:H.I.S オーロラの旅
オーロラを見るためには、上記のようなオーロラベルトというオーロラが頻繁に観測できるエリアへ行かなければいけません。
調べて行くと、イエローナイフは3日滞在で95%の遭遇率といわれるくらい見れる確率が高いです。
他エリアもそこまで観測率は変わらないのですが、晴天率だったり、観測場所の雰囲気(郊外なのか街中なのか)などを調べ、イエローナイフに決めました。
結果的に、滞在中すべての日でオーロラに遭遇することができました!
ほぼ雲もなく、限りなくレベル5に近いレベル4のオーロラ(悔しい)を見ることができました。(タイトル下の写真です)
95%の確率で見れるなんてイエローナイフ最高!と言いたいところですが、デメリットもあります。
・観賞場所はティーピーというテントのような形の暖をとれる場所で、他のツアー客と一緒。(別料金でプライベートティーピーもあるようです)
・観光地などはあまりない。(日中のバスツアーなどはある)
移動がおっくうな方やプライベートな空間で観測したい方は、イエローナイフはあまり向かないかもしれません。
私自身はティーピー内で他の観光客の人たちとのおしゃべりがとても楽しかったです!基本的にみんなワクワクでテンション高めなので盛り上がります(笑)
イエローナイフ以外の観測場所では温泉に浸かりなら観賞できたり、コテージなどの自室でオーロラ出現を待てるなんてところもあるようです。
ゆったりと観賞したい方はそちらを検討するのもいいかもしれませんね。
寒さが苦手な人でもイエローナイフは8~9月の夏の時期も観賞できます。
その時期はダウンジャケット一枚くらい用意すれば大丈夫なようです。
夏季はオーロラレイクで湖面に写るオーロラも撮影できるので、かなり魅力的ですよね。
オーロラビレッジさんのHPでオーロラカレンダーというものを見ることができるので、行きたい時期の発生率を過去からさかのぼって調べたりするのもいいですね。
確か私も自分の行く日程の過去の発生率を調べてから行きました。
充分に下調べして、少しでもオーロラに会える確率を高めたいですね!
撮影に必要なもの
まず最初にお伝えしたいのですが、私の考えとしては
「まぁ、大丈夫でしょ」
「なんとかなるでしょ」
で妥協して、カメラやレンズが調子悪くなったりしたらものすごく後悔するので、
やりすぎなくらいの装備で挑みました。
特にレンズが結露してしまうと自分ではリカバリーできない場合もあり、その後の撮影が一切できなくなるのは絶対避けたかったので、とにかく厳重に対策しました。
どこまでやるかは各々の判断でお願いしますね!
カメラ
まずは当たり前ですがカメラですね。
フルサイズ、APS-C、センサーサイズ等ももちろんですが、まず大前提として
シャッタースピードを調整できることが必須になります。
むしろこの機能があれば昨今はスマホでもオーロラが取れるとの噂です。
私が行った頃はそんな高性能なカメラのついた携帯電話はなかったので、時代ですね~!
センサーサイズは大きいに越したことはないかもしれませんが、私自身もAPS-Cで撮影しましたし、スマホでも撮れる(らしい)のでそこまで気にしなくていいと思います。
とはいえ、気軽に行けるような所でもないですし一生に一度かもということを考えると、より高画質なフルサイズやAPS-Cを推奨します。
ちなみに私は当時のCanonのAPS-C機の最新機種「EOS70D」で挑みました。
この記事の写真はすべて「EOS70D」の写真です。
レンズ
カメラ本体よりも重要となるのがレンズ。
といっても、ものすごい高級レンズじゃないと撮れないなんてことありません。
私自身もCanon純正レンズではなく、当時4万円弱くらいのサードパーティーレンズと呼ばれるレンズで行きました。
結婚式やら旅行代で、純正レンズを買うお金がなかったので(涙)
画像引用:TAMRON 10-24mm F3.5-4.5 Di II LD Asp
F値も明るい(数値が小さい)に越したことはありませんが、このレンズはF3.5~とあまり明るい部類ではありませんが一応ちゃんと撮れました!
でも…でもでも予算があるなら絶対明るいレンズがおすすめです!
F値が小さいほど光を取り込む能力が高く、シャッタースピードを短くISO感度も低くできます。
ISO感度を高くするとノイズ(画像の細かい粒のようなザラつき)が目立つので、ISO感度は低い方がキリっときれいな写真になるよ!
オーロラと景色を広大に撮るにはやはり広角レンズがおススメです。
ざっくりですが、個人的には下記のような条件のものがベターかなと思います。
<各センサーサイズの焦点距離>
・フルサイズ:10~24mm
・APS-C:8~18mm
・マイクロフォーサーズ:7~14mm
三脚
上の写真の三脚は実際オーロラ撮影に連れて行ったものです。
見てわかる方もいると思いますが、そこまで性能的に良い部類の三脚ではありません。しかも結構重いです。
価格も1万円ちょっとでした。
しかしカメラ初心者の私でも十分扱え、-30℃の極寒にも耐え抜いてくれました。
なので予算がない方は1万円くらいの三脚でも大丈夫と太鼓判を押せます。
ただ、過酷な環境での使用なので三脚の有名メーカーにしたほうがいいと思います。
また、現地で三脚のレンタルサービスもやっていました。
荷物を減らしたい方は自分の観測場所にレンタルがあるか確認して、そちらを利用してもいいかもしれません。
私の場合は当時三脚を使うことが初めてで、事前に使い方を練習したかったので購入することを選びました。
基本的には三脚の足は自分の撮影位置で伸ばしっぱなし、移動の際はカメラもつけっぱなしで(本当は外さなきゃダメ)かついで移動してました。
寒すぎていちいち脚をたたむ気力がなかったです。
もし三脚に3~4万の予算があるなら、素早く快適に操作できる自由雲台の三脚(しかも軽い)の方がおすすめです。
レリーズと予備バッテリー
レリーズは不要という人もいますが、私は持って行ってよかったです!
カメラ本体のシャッターボタンは、カメラカバーをしていると非常に押しづらいということと、そもそもシャッターを押す少しの衝撃で写真がブレます。
液晶画面のタッチシャッターやセルフタイマー、スマホと連携してアプリからシャッターを押すなどでもいいのかもしれません。
しかしー30℃の中、何度か素手で作業することもありましたが、せいぜい10秒くらいが自分の限界でした。
寒がり&冷え性ということもありますが、普通の手袋、登山用の手袋、レンタルのミトンと三重にしていてもかなり冷えました。
男性は手が温かい人も多いですし、冷え性の人も少ないので私ほどではないかもしれませんが、女性の方は特に要注意です。
カメラも凍る温度の中、凍るような冷たい手でタッチシャッターが反応してくれるかどうかの保証もありません。
何度もカメラ本体のシャッターを操作するのはストレス(カメラカバーをしていればなおさら)になる場合もあるので、冬季に撮影予定の方はレリーズは持っていて損はないかと思います。
そしてレリーズは互換性のある安価なものもありますが、純正にしました。
純正じゃないものを買って凍って壊れたら後悔すると思ったので。
買える範囲のものは純正で。その方が何かあっても諦めがつきます。
(純正が絶対壊れないということではありません。)
予備バッテリーも必須です。レリーズと同じ理由で純正です。
中華製の安いバッテリーは、普段とてもお世話になっています。
ただ、2年ほど使って純正バッテリーに変化はないのですが、安いバッテリーは膨らんできました。
かなり過酷な環境で使用することになるので、バッテリーのもちもいつも通りではない場合があります。
私の場合交換バッテリーはもちろん持っていたものの、レフ機だったからか一晩での撮影でバッテリー交換することはなかったのですが、ミラーレスの場合は絶対必要です。
ミラーレスなら冬季だろうと夏季だろうと2~3個くらい持って行った方がいいと思います。
そして持ち歩く際はなるべく自分のぬくもりが届くポケットで温めておくとよいでしょう。
撮影枚数はオーロラの出方にバラつきがありましたが、一晩で平均80枚(1枚あたり15~30秒)ほど撮っていました。
カメラの防寒対策
カメラカバー
私は冬季の撮影(ー30℃前後)だったので、カメラに防寒カバーを着せてあげました。
現地在住の方や世界中あちこち飛び回っているプロカメラマンの記事を見ていると、いちいちそんなカバーなどつけてなさそうです。
ただ、この記事を見てくれている方は今回初めて行く1回きりのチャンスかもしれない人ですよね?
ほかのオーロラの撮り方のサイトを見ていても皆さん必要なものとして挙げていないので必要ないのかもしれません。
ちなみに各メーカーのフラッグシップ機などを見ても、想定されている使用温度は最高でー10℃でした。
・保温性が高くカメラに霜も付きにくい
・バッテリーの消耗軽減
<デメリット>
・操作性が悪い
私の使っていたタイプはモニター部分が透明になっているので、撮れた写真をいちいちカバーを外さずにチェックできました。
あとはすごくどうでもいいのですが、気持ち的に相棒(カメラ)も寒そうなので、私は次回また撮りに行くとしても、防寒カバーは着せてあげようと思います。
カイロ
カイロ、といっても使い捨てカイロではありません。
使い捨てカイロの裏面をみると、成分の中に「水」が入っているんです。
ー30℃の中では使い捨てカイロは凍ってしまって使い物になりません。
私は木炭カイロを購入しました。
画像引用:L-breath GL ハンドウォーマー 51200 カイロ
こちらは木炭を燃やすタイプのカイロで、自分の防寒用はもちろん、カメラの防寒(結露防止)としてもかなり優秀。
木炭は熱を発する時に水蒸気が発生しないそうなので、カメラやレンズに巻き付けても安心。
タイツにいれて、レンズにぐるぐると巻き付けていました。
これもカメラカバーと同様、必要な機材の中に入れてない人もいました。
ですがオーロラ関係なしに「レンズの結露」で検索すると結構皆さん酷いことになっています。
レンズの結露対策はできるだけしていきましょう!!
しかも、今はもっと便利なグッズがあります。
私がオーロラ撮影行くとき、こんな便利な物なかったです…。
次回はこれを持っていこう!!(血涙)
こちらを使うにはモバイルバッテリーが必要なのでお気を付けください。
保冷バッグなどカメラが入る袋
保冷バックや密閉性の高い袋は必須です。
撮影が終わって氷点下の環境から急に暖かい室内に持ち込むと、あっという間にレンズはもちろんカメラボディにも結露が発生してしまう可能性があります。
そうなってしまうと乾くまでにかなりの時間を要しますし、最悪の場合は自分ではどうにもできない状態になることもあります。
それを防ぐために、撮影が終わった後はそのまま密閉性の高いジップロックなどに入れ、室内の涼しいところで徐々に室温に戻していってください。
ジップ付きの袋はよくサイズを確認して購入しましょう。カメラは結構かさばるので、家にあるような料理用の袋では入らないかもしれません。
大きめの保冷バックは100均でも手に入ります。
①ジップロックの中に乾燥剤を2つほど入れる。
②ジップロックは2重にして空気の層を多くする。
③さらにそれを保冷バッグに入れて室内の一番涼しいところに置く(ホテルの部屋入口ドア横や窓際に置いてました。)
④写真を見たい気持ちを抑えて、そのまま就寝。(PCなどある人は記録媒体だけ取り出してOK)
写真の確認は朝起きてからの楽しみにしました!
その他小物類
・マスキングテープ
・ブロアー
ライトは手元を照らすために必須ですが、
できるだけ短時間で、明かりをあまり漏らさないようにして使いましょう。
他の方も長時間露光で撮影しているため、そこにライトをつけてしまうと映り込んでしまう可能性があります。
できるだけ手で囲いながら使い、皆が快適に撮影できるように撮影マナーに気を配りましょう!
マスキングテープは、レンズのピント固定のために使用します。
極寒の中何度もピント合わせをするのは嫌だったので、無限遠(∞)に合わせたまま固定していました。
固定したくない人は必要ないかもしれませんが、冬季の場合の撮影は想像以上の寒さです。
もしかしたら使いたくなるかもしれないので、かさばらないですし1個持っていくと安心です。
ブロアーは私は使うことはなかったのですが、カメラやレンズに雪が付いたときに払ったりするのに便利です。
間違えても、レンズに息をフ~ッなんて吹きかけてはダメですよ!!
あっという間に表面が凍ります(冷汗)
オーロラ撮影の設定
レンズの設定とノイズ低減機能
画像引用:Canon “IOS流“機能活用術
ノイズ低減機能がついているカメラは、初期設定のままだと撮った後にカメラがノイズ処理を始めて
ん?固まって動かない!?
なんてことになりかねません。
長時間露光のノイズ低減機能がONまたは自動になっていると、シャッターを切った後ノイズ処理のためにかなり長い時間何も操作ができなくなります。
また、レンズはAF(オートフォーカス)ではなくMF(マニュアルフォーカス)にして、手振れ補正がついている場合はそちらもOFFにしましょう。
・長時間露光時のノイズ低減:OFF
・レンズはMF(マニュアルフォーカス)に設定
・手振れ補正はOFF
撮影の基本設定
・ISO感度:1600
・絞り(F値):解放(一番小さい数字)で固定
・ピントは無限遠(∞)で固定
この設定にして、オーロラが出てきたらひとまず撮ってみましょう。
F値が2以下の明るいレンズはSSを半分くらいにしたほうがいいかも。
小さなオーロラでコツをつかんで、いいオーロラが出てきたときにチャンスを逃さないように!
大物が来た時に焦らないようにするため、小さなオーロラでもバシバシ撮っていきましょう。
・明るい場合:SSを短くする/ISO感度を下げる
基本設定で撮ってみて、うまくいかない場合は上記のようにすれば撮れると思いますが、
ノイズを抑えるためにISOをできるだけ下げて撮りたい!
SSはできるだけ短くしたい!
各々のこだわりもあると思うので、設定を変えながら何度も撮って試してみましょう!
実際に撮った作例
タイトルにもありますが、カメラを買って1ヶ月そこそこの「初心者」が撮った写真です。
今見ると反省点も多く、カメラ熟練者から見ると、ええ??という点もあると思いますが、まぁまぁ撮れてるじゃ~んという生暖かい目で見てください(^^;)
写真を見返すと、私はSS(シャッタースピード)をほぼ「30秒」で撮っているんですよね。
私の一番の反省点でもありますが、10~20秒で撮ったものは極端に暗く、絞りの開放がF3.5ということもあってこのレンズの性能的に30秒が当時の私に一番納得いく写りだったんでしょうね。
30秒だと動いているオーロラは印影がぼやけてしまい、煙のように写っているものが多くてちょっと残念。
白飛びもしてるし、ぼんやりしている写真も多い。
予算があれば、明るいレンズ(F値の小さいレンズ)が絶対オススメです。
オーロラの明るさとレンズの明るさ(F値)に左右されますが、5~20秒くらいが綺麗に撮れるのかなと個人的に思います。
まとめ
実際に私が持って行ったもののまとめです。
・レンズ(10~24mm F3.5~4.5)
・三脚
・レリーズ
・予備バッテリー1個
(撮影現場には持って行かないけどもちろん充電器も忘れずに!)
・カメラカバー
・木炭カイロと巻き付けるためのタイツ
(↑今は便利なレンズヒーターがあるよ!)
・ジップロック・保冷バック・乾燥剤
・ペンライト
・マスキングテープ
・ブロアー
念には念を!!
何か忘れたら向こうで調達できないと思って行った方がいいです。
そう何度も行ける場所ではないですし、何度か行けたとしても見れるかどうか運の世界です。
万全の態勢で素敵なオーロラを写真に収めてきてください!
一生忘れられない体験になることをお約束します(*’ω’*)!!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
おまけ:動作環境<ー10℃>に対応しているカメラ
「Nikon Z9」
2021年10月に発表され、最高に盛り上がっている機種ですね。
CanonもSonyも2021年11月時点でトップに並んでいる機種調べてみたんですが、レフ機もミラーレスも0℃~しか対応しておらず意外でした。
PENTAXはK-1Ⅱ、K-3Ⅲ、K-70が対応しています。
PENTAX詳しくないのですが、K-3Ⅲとかなかなか楽しそうなカメラですね…。
FUJIFILMは、GFXシステムすべてー10℃対応。
XシリーズはH1、Pro2、Pro3、T4、T3が対応していました。
FUJIFILM、環境対応面でとても優秀…。
中盤ミラーレスのGFXシステムで撮ってみたいけど、予算が…(笑)
APS-Cになりますが、X-T4のバリアングルがいいね。
とはいえ、私が使ったCanonEOS70Dは、動作環境「0℃~+40℃」というものだったにも関わらず立派にやり遂げてくれました!
そんなにこだわらなくていい部分かもしれません。
極寒の環境で行く方は、カメラ環境もですが体調もしっかり整えてくださいね~!